約2年前の平成30年7月に相続法が大きく改正されたこと、ご存じでしょうか?
相続法については,1980 年(昭和 55 年)に改正されて以来,大きな見直しがされてきませんでしたので、約40年ぶりの変更という実は大きな出来事でした。
今回は、数ある改正の中で今年の7月10日に開始されたばかりの制度についてご紹介させていただきます。
それが「法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設 (遺言書保管法)」です。
これまでは、自筆証書遺言については自分で保管、管理する必要がありました。それが結果的に遺言者が死亡した際に相続人が「遺言書の場所が分からない(紛失リスク)」ということや、遺言書を発見した相続人の一人が内容を見て「自分に不利なことが書いてあるので破棄してしまおう(改ざんリスク)」のような懸念もありました。
今回の改正により法務局での保管が可能になったことで、このようなリスクを防ぐことが出来ると言われております。
また、本来自筆証書遺言は原則的に家庭裁判所による検認手続が必要になりますが、自筆証書遺言の保管制度を利用した場合に限っては、法務局が遺言書を保管することで偽造・変造のおそれはなくなるため、検認が不要になります。これにより遺産分割の手続きも早く進められることが出来ます。
尚、自筆証書遺言を作成してから保管までの流れは以下の通りです。
- ① 自筆証書遺言を作成する
- ↓
- ② 保険の申請をする遺言書保管所を決める
(長野県内:長野地方法務局(本局)他9支局で保管可能) - ↓
- ③ 申請書作成する
- ↓
- ④ 保管申請の予約をする
- ↓
- ⑤ 保管の申請をする
- ↓
- ⑥ 保管証を受け取る
遺言書の保管の申請にかかる手数料は1通につき3,900円です。「一度作成した遺言書を書き換えたい」という場合はその都度費用がかかりますが、それほど大きな負担ではないかと思います。ただし、一度保管した遺言書は保管の申請の撤回をしない限り返却されませんのでご注意ください。
今回は「遺言書保管法」についてお伝えさせていただきましたが、相続法についてはこれ以外にも様々な改正が行われております。
詳細については法務省のHPに掲載されておりますので、是非一度ご確認ください。