はじめに:日銀の最新決定
2025年9月の日本銀行の金融政策決定会合において、「ETF等の処分に関する決定」がなされました。
要点は以下の通りです。
・日銀が過去に金融機関から買い取った株式、
ETF、J-REITなどを市場に戻す(売却する)方針。
・売却ペースは、「金融機関からの株式買入れ」の売却と同程度の規模とすること
が基準。
市場の状況を見ながら、一時的な調整・停止を行う可能性もある。
・売却方法は、各銘柄の保有割合に概ね比例させつつ、時期を分散させる。
・売却が市場全体に与える影響や、日銀自身の損失発生を極力抑えることも重視。
この決定は、「量的緩和」または「資産買入れ」の非常時的な措置を縮小・正常化させるプロセスの一環と考えられます。

ETFとは何か?
この決定を理解するうえで、「ETF」が何を意味するかを押さえておくことが重要です。
「ETF(上場投資信託:Exchange Traded Fund)」とは、次のような特徴を持つ金融商品です:
<特徴/内容>
①上場されている
・株式と同じように証券取引所で売買できる。
リアルタイムで価格が変動する。
②投資信託の一種
・投資信託のように複数の銘柄(株式、債券など)をまとめて持つが、
売買が容易。
③分散投資ができる
・一つのETFで多数の銘柄に分散投資でき、リスクを抑えることが可能。
④手数料が比較的低い場合が多い
・投資対象や運用方法によるが、一般的なアクティブ運用投信よりもコストが
低めのケースが多い。
例えば、日本株式に連動するETFなら、TOPIXや日経平均などの指数に近い
値動きをするよう設計されています。

なぜ「日銀のETF処分」が注目されるのか
日銀がETFを処分するということは、以下の理由で金融市場や投資家にとって大きな意味を持ちます。
①市場へのインパクト
・大量のETFが市場に売りに出されると、価格変動のきっかけになる可能性が
あります。
需給バランスの変化を通じて市場のボラティリティ(値動きの激しさ)が
増すことも。
②金融政策の正常化のシグナル
・日銀はコロナ禍など非常時に資産買入れやETF購入を拡大してきました。
こうした処分は、「非常時ではない」または「正常へ戻すための段階」に
入ったことを示すシグナルと受け止められます。
③投資家のポートフォリオ戦略への影響
・日銀のETF買入れは市場を下支えしてきた面があります。
それが減少すれば、投資家自身が株式・ETFの選択やリスク管理を
より慎重に行う必要が出てきます。
④コスト・リスクの透明性
・日銀が「損失発生を極力回避する」「市場に攪乱的な影響を与えない」よう売却
する方針を明示したことで、処分プロセスの透明性がある程度保たれています。
投資家にとっては予測可能性が増します。

おわりに
・日銀がETF等の処分を行う決定は、金融政策の転換点として投資家・市場双方に影響を及ぼす可能性が高い出来事です。
ETFとは何かを押さえたうえで、今回の方針が自分の投資スタンスにどのような意味を持つかを考えておくことが、
これからの資産運用を考えるうえで役立ちます。
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